「乙なもの」という言葉があるが、知多の霊場巡りはまさにそれだ。
霊場になっているお寺のひとつひとつは大きくはないし有名でもないけれど、何百年、ときには千年以上もその地域に親しまれてきた由緒あるところが多い。
名の知られたお寺と違って古びていて、時には朽ちているようにも見えるが、そんなお寺のお堂の薄暗闇の中にひっそりと佇む仏像にはありがたみがあって、手を合わせるととても心が落ち着く。参拝者もさほど多くないから、ゆっくりお参り出来る。
知多西国三十三所に安楽寺という寺号のお寺は二つあるが、今回の記事は阿久比町の安楽寺。自然豊かでのどかな住宅街の只中に佇むお寺である。
山門をくぐってすぐ正面にある観音堂の賽銭箱に10円玉をチャリーンして、手を合わせる。
観音さま、どうか私を悩みや苦しみからお救い下さい。オン アロリキヤ ソワカ オン アロリキヤ ソワカ オン アロリキヤ ソワカ。
よーし、参拝終了。朱印をもらいに行くぞっ(/・ω・)/ っと納経所に足を向けた瞬間、背後から何かが聞こえてきた。
「かーんじーざーいぼー ぎょーしーん はんにゃーはーらみったーじ しょーけん ごーうん かいくうどー いっさいくーやく・・・しきそくぜーくう くうそくぜーしき・・・」
こ、これは・・・般若心経!!Σ(゚Д゚)
振り向くと、観音堂の前で手を合わせてお経を唱えるおっさんが一人。しかも珍遊記に出てくる汚ならしいオヤジみたいに、超ダセー白シャツに、これまた超ダセーブルーのストライプのトランクス履いてる。すね毛。家でダラダラしてたけど気が向いたから納経しにきました、みたいな感じ。超かっこいい。(・∀・)
このおっさんに比べれば、俺の参拝などママゴト同然だ。やはり般若心経を覚えなきゃいけないな(`・ω・´)
とりあえず今日のところはママゴト参拝で許してもらおう。
ということで御朱印だけはしっかりもらってまいりました。